VR 産業にその名を刻むことができるか? VR コンテンツ専門のベンチャースタジオ Innerspace VR
キューブマップを利用したコンテンツ
今回ご紹介するのは、様々な意味で賑わいを見せている VR コンテンツ市場に挑む、とあるベンチャーのサイトです。
VR 専門を謳うだけあり、サイトで紹介されているコンテンツはいずれも VR コンテンツばかり。しかしウェブサイトのほうは、特に WebVR などを使っているわけではなく、普通に WebGL を使って全方位を眺めることができるような作りになっています。
個人的には、あまり面白いと感じられる部分は正直多くないのですが、産業全体を応援するという意味でも、ご紹介しようかなと思いました。
VR に特化したクリアティブスタジオ
今回ご紹介するベンチャーは、前述のとおり VR 作品を専門に扱う方針のスタジオのようで、そういう意味ではこういった WebGL を利用した先鋭的なサイトを使っているのは、評価できるかなと思います。
ただ、サイトの制作自体は外部に委託したものなのかな?
ベンチャーということもあり、自分たちでウェブサイトを制作するほどの余裕は無かったのかもしれません。
WebGL の実装としては、three.js を使っています。VR の専門集団というとこもありもしかしたら自前でガッツリ実装しているのではと淡い期待を抱いてしまったのですが、そんなことはありませんでした(笑)
サイトで紹介されているのは、彼らのこれまでに制作してきた作品たちです。いずれも、マウスカーソルの動きに合わせて視界がグリグリと動きますが、要はキューブマップを利用したテクスチャベースの全方位映像なので、それほど難しいことをやっているわけではありません。
キューブマップがよくわからないという人のために簡単に説明すると、その名のとおり、正立方体のキューブ型のモデルを作成してそのなかにカメラを置き、キューブの各面に景色を投影することで、まるで風景が見事に切れ目なくつながっているかのように見える 3DCG では比較的一般的な技術です。
破綻のないように計算されて風景がキューブの面に描きこまれているため、一見すると箱の中にいるというのが信じられないかもしれませんね。
でもよーく目を凝らしてみると、キューブの継ぎ目の不自然にドットが乱れているところなど、見つけられると思います。そんな粗探しみたいなことやってもしかたないですけどね(笑)
彼らのスタジオの作品は、Oculus Rift や Gear VR を使ったものが多いようです。
実際にリリースされているゲームやドキュメンタリー風のコンテンツは、それぞれの専用ページに動画と共に紹介されているので、興味のある方は見てみるといいかもしれません。
とても穿った見方をすれば、VR 専門のスタジオとしては、むしろ中途半端なサイトになってしまっているとも言えると、個人的には思います。あくまでも個人的な意見ではありますが。
簡易的に three.js などでキューブマップを利用して VR を再現しただけではむしろ陳腐に感じてしまう…… VR とは既に、そんなものになりつつあるのかもしれません。
もちろん、まだまだ VR を知らない人のほうが絶対的に多いと思いますので、そのあたりはどういったターゲットに向けたコンテンツやウェブサイトなのか、ということが大事になるのでしょうね。なかなか難しいところです。
さりとて、VR コンテンツで是が非でも結果を出したいという、そんな思いが伝わってくるサイトにもなっていると思います。みなさんもぜひご覧になってみてください。