あまりにも完成度の高すぎるパーティクルの神域! ヘネシーの WebGL 製サイトが凄すぎる!
ムービーとの境界を感じさせない見事な演出
今回ご紹介するのは、ブランデーの銘柄として、お酒にあまり詳しくない方でも耳にしたことがあると思われる、ヘネシー(Hennessy)のウェブサイトです。
ヘネシーは、フランスのコニャックと呼ばれる地方で生産されている高級ブランデーのブランド名ですね。……と偉そうに書いて見たものの、私はお酒は全然詳しくないので、その点の解説はやめておきます。
今回のサイトは、現時点での WebGL におけるパーティクル表現としては、間違いなく世界随一の出来栄えと断言できます。
ムービーと WebGL レンダリングとの境い目がわからないほど見事なシーン遷移も含め、あらゆる点で他の追随を許さない完璧な完成度となっています。
公式ムービーをさらに WebGL で彩った作品
Youtube などでヘネシーの最近公開された動画を探してみると、今回のサイトの背景に時折流れる、オリジナルのムービーを見つけることができます。
今回のサイトは、そのムービーによって描かれるヘネシーの歴史や製造に対するこだわりを、WebGL の多彩な演出によってより表現力豊かな、インタラクティブなウェブコンテンツへと昇華させています。
全体にパーティクルを用いた演出が多いのですが、特筆すべきはそのパーティクルの様々な表情の違いではないでしょうか。
パーティクルを利用し、風景のシルエットを点描のようにレンダリングしたシーンが、今回のサイトには多数登場します。
こちらは多分ポイントスプライトだと思いますが、手前にあるパーティクルは大きく、奥にあるパーティクルは小さく描かれます。これによって、結果的に被写界深度のように、遠近感が非常にリアリティのある風景として表現されています。
マウスカーソルを動かすことである程度カメラが動くのですが、思わずいろいろな角度から眺めてみたくなるような美しいシーンです。
シーンを遷移するときには、そのときそのときによって取るべきアクションが異なりますが、クリックしたままホールドすることで、まるで霧が風に揺らぐようにしてパーティクルが一気に動き出す様子は圧巻です。
いくつかのフェーズに分かれて、ヘネシーの歴史的な出来事やこだわりなどを次々と表現していく今作。
途中には、動画を背景に置いたまま、パーティクルっぽい描画結果を合成したシーンもあります。
一見すると、正射影でスクリーン全体にポリゴンを重ねたポストエフェクトのように見えますが、どうやら板ポリをパースペクティブで普通にレンダリングし、その板の傾斜具合にマウスカーソルの動きを当てているみたいですね。
マウスを動かすとレンダリング結果がぐらりと揺れるように見えるようなところでは、その部分が非常にわかりやすいのではないでしょうか。
その他にも、まるで炎から吹き上がる火の粉を表現したようなパーティクルのシーンや、ふたつの動画を GLSL によって同時に合成しながら描画するシーンなど、随所に見ている人を飽きさせない、様々なエフェクトやテクニックがつめ込まれています。
もう雰囲気としては WebGL テクニック全部乗せみたいな感じです。
次から次に目に飛び込んでくる美しい映像と迫力のパーティクルに、開いた口が塞がらなくなります……本当にすごいです。
一番最後のシーンまで進むと、そこでやっとこのサイトの主役である、ヘネシーの瓶のイメージが登場します。
それまでのあらゆるシーンは、パーティクルや流体表現を駆使した、とても美しいものとなっています。また、ムービーの再生にうまくパーティクル表現を織り交ぜるように作っているようで、ムービーを眺めていたはずが気がつくと一面のパーティクルに囲まれていた、なんてこともしばしば起こります。こういったところの表現力にも、思わずうならされますね。
非常に表現が美しい代償として、それなりに負荷は高いと思いますので、もしかするとオンボード GPU のマシンで見るとちょっと苦しいかもしれません。その点には注意してください。
非常に滑らかに動くパーティクルを楽しめるのは、やはりハイエンドな構成のマシンということになりそうです。
まるでブランデーの表面のような流体表現の色遣いも見事。
まさに世界レベルで見ても、現在の WebGL 実装のサイトとしては最高峰の出来栄えと太鼓判を押せる、そんな完成度です。
以前、WebGL を使ってスマートフォンで VR コンテンツを閲覧できる、かなり完成度の高いサイトがありましたが、思い返してみるとあれもコニャック地方の酒造メーカーのサイトでした。
フランスでは、お酒に関してはやはりブランドイメージなどが重視される傾向があり、酒造メーカーも積極的にハイエンドなウェブサイトを求めているのかもしれないですね。
このサイトの制作背景に、どのような思想があるのかはわかりません。しかしこの一級品のサイトを見ないのは、あまりにももったいないです。
WebGL に興味があるのなら、是が非でもご覧いただきたい……そんなサイトです。
みなさんも、ぜひチェックしてみてください。