ちょっと不気味な世界観に詰め込まれた独特なセンスが秀逸! こだわりの WebGL デモがすごい!
そこにしかない表現の形
今回ご紹介するのは、その独特なセンスにまるで頭をガツンとやられたかのような衝撃を受ける……かもしれない、不思議な WebGL デモ作品です。
作者の方はオランダ人の方のようですが、この世界観はどうにも形容しがたい、不思議な魅力を感じさせます。一種の不気味さと怖さみたいなものが垣間見える作品になっており、描画される世界観は誰もが諸手を上げて受け入れられるものではないかもしれません。
先に断っておくと、両生類などの生き物や、生々しい表現が苦手な方は、閲覧を控えたほうがいいと思います。それほど露骨ではないですが、ちょっと不気味な雰囲気のある作品ですので。
腹の底に響くようなサウンドとビジュアル
今回の作品はサウンドに関してもこだわりを感じさせます。
少し暗い雰囲気の、低く唸るようなサウンドの感触が少し不気味なビジュアルに非常によくマッチしていますね。
こういった作品が苦手な方ももしかしたらいるかもしれませんが、ひとつの表現方法として作品を見てみると、今まであまり感じたことのないセンスや技術的な活用方法が見えて、面白いです。
まず冒頭から、いきなりちょっとリアルな光沢を放つ魚の群れが効果音は一切伴わずに、暗闇の中から現れてきます。
ブラウザから再生されるのは BGM として再生されている音楽だけで、モデルが動くことに対する効果音は一切ありません。
静かに、まるで命を感じさせない冷たい雰囲気をまといつつも、それらがぐりぐりと動いている様子は不気味な魅力に満ちているように感じます。
植物やサンゴをあしらったようなシーンもあります。これらのシーンは、原則としては勝手に次々に切り替わっていくので、特別な操作を行わなくても次のシーンへと移っていきます。
シーンの再生中には、マウスカーソルを動かすことでカメラアングルが変更できるほか、クリックしたマウスのボタンをホールドすることで、シーン内に与えるアニメーションの効果が加速するようになっています。
ほとんどのシーンは、波打つような、揺れ動く動きを中心にしたアニメーションが施されており、マウスボタンのホールドによって、この揺れる動きがより激しいものに変化する感じですね。
なかには、揺れる以外の動きを伴うシーンもあります。
これは言葉ではちょっと説明がしにくいのですが、もともとの形状が時間の経過と共に徐々に崩れていき、最終的には平面的な板ポリゴンへと変化してしまうというもの。
板ポリゴン化するうえで、必然的にテクスチャが間延びしたように広がっていってしまうのですが、それさえも表現方法のひとつとして活用されています。
まるで命が朽ちていくように、形がどんどん崩れていく様子はどこか心の奥深くを刺激してくるような気持ちにさえなります。
最後は角だけになってしまう鹿の骨。
今回の作品は、冒頭にも書いたようにちょっと人を選ぶかなという気がします。
ちょっと刺激が強いのでキャプチャは載せていませんが、見方によってはかなり気持ち悪い感じのするものも、あると思います。その点には、ちょっと注意してください。
しかし、全体を通じて流れている仄暗い雰囲気はなかなか見事。
また、それらを見せる際のアニメーションやサウンドの効果も含めて、ひとつの作品としての完成度はかなり高いところにあるように感じました。
今回の作品のような、あえて世界を崩壊させていくような見せ方はちょっとめずらしいものでもあると思います。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。