スペインにある学生と企業をつなぐ財団のサイトに WebVR+WebGL のデモが公開中!
WebGL 製のマルチプラットフォーム VR コンテンツ
今回ご紹介するのは、スペインにある、とある学生と企業を結ぶ活動をしている財団のサイトです。ここで財団、と言っているのは、Google でこの組織の名称を調べてみたら「財団」と出たのでそう呼んでいますが、実際には少し違うものなのかもしれないです。
ちょっとサイト全体がスペイン語ということもあって、今ひとつ細かなニュアンスまではわからないのですが、恐らく、大学に通う学生と、それを採用したい企業との間を取り持つような、そんな活動をしている組織なのかなと思います。
今回のコンテンツは、そんな組織の歴史と未来を見据えた、インタラクティブなデモコンテンツとなっています。
PC での閲覧やモバイル VR にも対応
今回のウェブサイトは、VR 対応を謳っています。
VR というと様々なところで今まさに流行の兆しを見せている注目コンテンツですが、ウェブというフィールドにおいては、VR はまだまだ未来の技術という感じです。
WebVR という新しい API も、今まさに実装が進められているところですが、今回のサイトはこの WebVR にも対応しており、Oculus Rift といった本格的なヘッドマウントディスプレイにも対応しているようですね。
その他にも、PC のブラウザ上での実行や、スマートフォンなどを利用したモバイル VR での実行もできるようです。そのあたりは、しっかり作ってありますね。
ただ、PC で閲覧する場合には、PC モードに一度切り替える必要があります。そのあたりは、一手間必要という感じで少し不親切なインターフェースになってしまってますね。
勝手にフルスクリーンになってしまったりするのでちょっとそのあたりもわかりにくいのですが、Esc キーを使うなどして全画面表示を解除すると、ロード中の画面が出てきます。
さらに、デモの実行がスタートしたあとに、ギアの形をしたアイコンをクリックすると、上の画像のようなメニューが出てきます。ちょうど中心のところにコントロールを何で行うかを切り替えるアイコンがあるので、これをマウスに変更すると、PC でも普通に閲覧することができます。
このあたりは、ウェブのコンテンツを作ることに習熟した人がいなかったのかな? と思わせるような、ちょっとユーザーに優しくないインターフェースになってしまっています。
ただ、デモの内容は、なかなかしっかりしていますね。
全体的にそれほどポリゴン数が多くないモデルが中心のシーン構成ですが、これはモバイル端末でも問題なく表示できるようにするための配慮だと思います。
また、PC での閲覧もできるようにするために、いくつか工夫して作っているなと思わせる部分が見受けられます。
たとえば、PC モードでは、VR モードでの「注視点(見ている場所)」に相当する操作がマウスで行えるようになりますが、マウスカーソルをホバーすると、該当するアイテムが明るくハイライトされるなどの演出を見ることができます。
VR モードの場合は、これがマウスカーソルではなく、視点を動かすことで行えるのでしょうね。見つめているところがちょうど明るくハイライトされるので、とてもわかりやすく、理にかなった動作だと言えると思います。
視線やマウスカーソルを合わせるとハイライトされるアイテム。
シーンはいくつかのステージに分かれています。
それぞれのシーンが再生されている最中は、音声によるアナウンスも流れており、当然のごとく何を話しているのかはちょっとわからないのですが、恐らくこの組織の歴史や取り組んでいる課題などが解説されているのだと思います。
表示される CG の内容を見ているだけでも、なんとなくどんなことが語られているのかは、想像できるようなシンプルなシーンが多いですね。
実際に VR モードで閲覧していれば、広い空間の中に幾何学的な形状のオブジェクトが浮かんでいる様子を確認できるはずです。
ウェブというプラットフォーム上で VR コンテンツを配信することに対して、現時点では、まだまだあまり大きなメリットは見つかりません。広く、誰にでも届けやすいというウェブの持つ特徴が、VR とどのような相乗効果を持って人々に提供されるのか、その可能性はまだ誰にもわからないと言っていいでしょう。
しかし、こういった先進的な取り組みを積極的に行い、それをウェブで実際に配信していくという行為そのものは、その組織のありようや目指すものをアピールする上では非常に効果的だなとは感じます。
惜しむらくは、これだけのものを作ったことで、いったいどれほどの人がそれに注目してくれるのかという点がわからないこと。
私なんかは単純にすごいなあと感じるのですが、これが一般的な視点でどれほど評価されるものなのか、判断が難しいところです。
と、なんか個人的な感想をいろいろ書いてしまいましたが、現時点で閲覧可能な WebVR 製のコンテンツはそれほど数が多くありません。もしも、WebVR やウェブにおける VR 表現に興味のある方は、一度ご覧になってみることをおすすめします。
ぜひチェックしてみてください。