独自開発の軽量な CAD データ XVL 形式のファイルを WebGL で表示する XVL Web3D Player
独自開発された軽量な CAD 用のデータ形式 XVL
今回ご紹介するのは、一般的に CAD と呼ばれている製造業向けの 3D 関連製品を多く提供している、ラティス・テクノロジーのウェブサイトです。
ウェブのフロントエンド界隈と製造業における 3D 製品とでは、普通に考えるとほとんど接点がありません。しかしいかなる業界、いかなる企業であっても、今はインターネットやウェブと無縁というわけにはいきませんよね。
今回はそんな CAD 系の製品を多く扱っている企業が、WebGL を用いることで、特別なプラグインや製品購入などを行わなくても、誰でも簡単にモデルを閲覧することができるように開発したプロダクトです。
ブラウザひとつで誰でも簡単に独自データを閲覧できる
最初に今回紹介するサイトの提供元について簡単に要約します。
今回のプロダクトを公開しているラティス・テクノロジーは日本の企業で、独自に開発したという軽量な CAD データ形式、XVL を軸にした多くのサービスや製品の販売を行っています。
これまでにも、プラグインを導入することでブラウザ上で XVL 形式のデータをプレビューすることはできたようですが、これが WebGL に対応したというのが、今回のプロダクトですね。
現在ではまだ体験版ということで、プリセットで用意されているいくつかのモデルデータをビューアに表示することができるだけに留まっています。将来的には、独自データをアップロードするなど、もう一歩発展した使い方ができるようになるのでしょうね。
表示するモデルデータは、画面の左側にあるドロップダウンリストから選択できます。上の画像はそのなかの「エンジン」とだけ書かれていたものを選択した状態です。
いわゆる一般的な WebGL 作品に見られるような、ドラッグ・アンド・ドロップによる視点の移動などが行なえますが、上の画像のように、一部のパーツを選択して色を赤くハイライトしたりといった機能もあります。
画面の左側には、このエンジンモデルを構成する多数のパーツが一覧になってツリー状に表示されており、その名称や構成パーツまでが事細かくわかるようになっています。
こういった部品ごとの詳細な構造まで表示できるのは CAD 系のアプリケーションのウェブ版ならではといった感じです。
ちなみに、下の画像は「衛星」とリスト上で表示されるモデル。かなり頂点の個数が多そうですが細部までしっかりと描画されています。(その分重いですが……)
XVL はラティス・テクノロジー社の独自フォーマットで、通常の CAD データよりも数倍以上の圧縮率となる高速で高品質なデータフォーマットであると公式には謳われています。
それだけに、ビューアとなると同社の提供している専用のビューアソフトを使う必要があったとのことですが、これがブラウザでも行えるようになった意義は大きそうですね。
WebGL のビューアの場合は軽量なのかどうかまではどうにもわからないですが、少なくとも、様々に質感を変化させたり、半透明の物体を表示したりと言ったような、細かい制御もできるようですね。
下の画像はバイクのようですが、金属部分はテカリがあるのにタイヤはマットな質感になっているなど、部分ごとに異なるマテリアルが適用されている様子がわかるのではないでしょうか。
今回の製品、まだ体験版ということですが機能的には十分に実用に達しているように見えます。
また、内部はどうやら three.js を使っているようで、豊富にあるマテリアルの設定を上手に利用しながら、社内製品用の独自フォーマットをうまく変換しているようです。
CAD は高い精度や正確なレンダリングが必要であったり、なかなか気軽にウェブで公開するようなデータではないというケースがほとんどなので、どちらかというと WebGL 向きでない部分があるかなと思います。
それでも、自社製品や設計状態をお客さんにチェックしてもらう際に、こういった気軽に利用できるビューアがあるのはとてもいいことですよね。
今後はより製品としての完成度が上がっていくのだと思いますが、こういった WebGL の利用の仕方もまた、WebGL の持っている可能性の大きさを感じさせてくれるものだと思います。
気になる方は、ぜひチェックしてみてください。