WebGL で作られたブラウザゲームとしては本格派のレーシングゲームが楽しめる Team Alpine Matmut Challenge
ブレーキの使い方が勝負のキモ
今回ご紹介するのは、ブラウザゲーム、特に WebGL を利用しているものとしてはとても品質の高い部類に入るレーシングゲームです。
さすがにコンシューマタイトルのような精密な挙動を再現している、ということではないのですが、とても軽快な動作とテンポの良いゲーム性が非常に素晴らしい出来栄えです。
体感としてとても軽い感じがするのですが、nanogl という軽量な WebGL フレームワークを使って設計されているっぽいですね。
内容もそれほど難しくないので、ついつい何度もトライしてしまいたくなります。
天候による路面の変化などもきちんと再現
今回のゲーム、見れば見るほどほんとによくできていて、外見こそ若干ローポリゴンな感じではありますが、その分動作がかなり体感的には軽めになっていてとても素晴らしいですね。
ページのロードだけは、利用されいているモデルデータやテクスチャ用の画像が多いため、若干時間が掛かるかもしれません。
しかしひとたび動き出してしまえば、ほとんどストレスを感じない場合が多いと思います。
ロード完了後は青い背景のイントロページですが、そこから Start ボタンをクリックすると、コースを選択する画面が出てきます。
コースはいくつか用意されている……かと思いきや、実はコースの構造自体はまったく同じものが使われています。
ただし、天候や時間帯が異なるなど、見た目はかなり違った印象に調整された複数のシーンが用意されています。
ゲーム内容としては、基本的にはレーシングゲームなので矢印キーなどを使って車を操作していくというわかりやすいルール。
実際にプレイしてみた感想としては、とにかく接触することのリスクが非常に大きい感じの挙動なので、コースの外周にある壁や他のレーシングカーと接触を極力しないようにプレイするのが良さそうです。
上の画像にもあるように、太陽にカメラが向かうようなアングルではレンズフレアが発生するなど、ただ単に 3D でやってみましたというレベルではない、シンプルながらしっかりとした絵作りがなされています。
コースや背景のオブジェクトなど、ゲームの主人公的位置づけである「車体」以外の部分は簡易的なローポリゴンモデルが中心ですが、高速でレースが展開されている最中にはほとんど気になりませんね。
また、画面内に表示されているコース図や各種情報表示も丁寧な感じの仕上がりです。
ゲームの進行を妨げない、非常に見やすい文字列表現だなと思いました。
そして先程も少し触れたとおりで、この作品には天候や、あるいはレースを行っている時間帯を変更した別モードが用意されていて、CG 的には何度も楽しめるようなボリュームがあります。
3D モデル等はまったく同じ頂点データだと思いますが、少なくともビジュアルがガラッと変化するので非常に面白いです。
夜のシーンではオーロラのようなものが見えたり……
雨の日は車体が非常に滑りやすくなっていて操作をより慎重に行う必要があったりと、かなり手の込んだ作りになっているように思いました。
アクセルを離すと、それがそのままブレーキングになる仕様なのですが、このアクセルワークこそがこのゲームの鍵だと思いますので、接触しないようにがんばってプレイしてみてください。
今回の作品は CG 部分ももちろんなのですが、ゲームとしての実装が非常に丁寧で、プレイしていても不快感や違和感をあまり感じない見事な仕上がりになっていると感じます。
また夜のモードでは路面に矢印模様で行く先が示されるなど、単に色を暗くしただけじゃない細かな表現が入っていたりして、すごく手の込んだ作品だと思いました。
実装に利用されていると思われる nanogl は、日本ではほぼ無名に近いですが、同名の OpenGL 用の実装も存在するようなので調べるときはちょっと気をつけましょう。
nano、とあるように、このフレームワークはかなり限定された機能だけを提供する軽量な実装みたいなので、作者の方を中心にフランスあたりでは結構使われているのかもしれません。
WebGL のゲーム作品としては、かなりレベルの高いものだと思います。
ぜひチェックしてみてください。