広がりのある空間上で立体的にノイズを活用! Andre Mattos さんの実験作 LAYERSCAPE が面白い
シンプルな実験作だがセンスの光る一品
今回ご紹介するのは、Andre Mattos さんが実験作として公開している LAYERSCAPE という作品です。
氏のサイトには、実験作一覧のようなページがない(もしくはわたしには見つけられなかった……)ので、他にどのような実験作があるのかはわからないのですが、3D 作品やインスタレーションなど、様々なアート作品を手掛けている方みたいです。
ポートフォリオサイトには、画像や動画で彼の手掛けてきた作品たちが掲載されており、ウェブだけでなく、様々なジャンルで活躍している方であることがうかがえます。
様々なエッセンスの詰め込まれたインタラクティブデモ
今回の作品は、実験作らしく非常にシンプルなワンシーンから構成されています。
3D シーンが描かれる作品なのですが、そこには一見シンプルな、起伏のある山脈地帯のような風景が描き出されます。
このシーンはマウスカーソルの位置に応じてインタラクティブに反応するようになっており、山の起伏などがグイグイと変化します。
ご覧の通り、ビビットなカラーリングと、シックな印象のグラデーションとが絶妙に混ざりあったなかなか雰囲気のあるシーンです。
上の画像を見ると、かなり道幅というか川幅というか……
画面の中央部分が大きく広がっているように見えるかと思うのですが、カーソルの位置を変化させると、起伏の状態が変化して、結果的に道幅が狭まったかのように見えるようになったりもします。
カーソルの X 座標と Y 座標が、それぞれ異なるパラメータにアタッチされているので、画面のなかを様々にカーソルでなぞってやることで、風合いの異なるシーンをいろいろと楽しむことができます。
また、一定時間ごとに、ランダムにグラデーションというか、地層の模様自体が変化するようにもなっているので、インタラクティブな部分も併せて考えると……
ほとんどの瞬間瞬間が、二度と作られることのない「その一瞬にしか見ることのできないシーン」なのだろうなとも思えてきます。
言葉では説明しにくいのですが、インタラクティブ性とランダム性が生み出す、偶然によって紡ぎ出されるアートな世界がそこにはあるような気がします。
ノイズを使ってデモ作品を作ったり、シェーダアートを作ったりというのは、ある種当たり前というか、一定以上のレベルに達した開発者やアーティストは自然とやっていることだと思います。
しかし今回の作品には、ノイズの使い方ひとつでもこれだけ多彩な表現力が生まれるという、圧倒的な説得力があるようにわたしには感じられました。
単調と言えば単調なのですが、一方でいつまでも見ていられるような作品でもあると思います。
ぜひチェックしてみてください。