インターネット TV やモバイル SIM を提供する VOO がインターネット社会に問う WebGL デモ

doxas : 2016-05-29 13:57:08

寂しく悲しい出来事を忘れないために

今回ご紹介するのは、ちょっと悲しい気持ちになるかもしれない作品です。ある意味、人を選ぶ作品である可能性があるので、もし途中でつらくなったら、最後まで無理に記事を読まず、そっ閉じすることを推奨します。

今回の作品はフランスで実際に起こった、ネットいじめによる少女の自殺をテーマにした、インターネット社会への警鐘を鳴らすコンテンツです。

16 歳で亡くなったというその少女に毎日のように送信された、SNS 経由でのたくさんのメッセージが、浮かべられた風船ひとつひとつに書き込まれています。

インターネット事業者が配信しているコンテンツ

今回のコンテンツは、インターネット事業者である VOO という企業の配信しているコンテンツです。

VOO はインターネットでのテレビ番組の配信や、モバイル端末用の SIM サービスなどを提供している企業です。インターネットに関わる事業者として、自分たちの取り組みや姿勢について表現しているものなのだと思います。

通信事業者がこんな内容のコンテンツを配信していると、変に邪推をしてしまえば、体裁を良く見せようとしているだけなのではないか? と思ってしまいそうなものです。しかし、そのコンテンツの内容を見ると、あまり冗談や見せ掛けだけで、今回のコンテンツが作られたようには感じられませんね。

もし今回のコンテンツのようなテーマが自分に合わないと感じられたら、無理せずページを離れたほうがいいでしょう。結構、生々しい内容になっています。

WebGL のデモは、外見はよくある全方位マッピングの WebGL デモです。実装としては three.js をベースにしており、特に珍しいエフェクト等を使っているわけではありません。

恐らく、Theta のような全方位カメラを使って撮影した写真だと思いますが、いくつもの風船が自分自身を取り囲むかのように写し出されています。

この風船のひとつひとつには、白いマジックでなにやら書き込まれているのがわかると思います。これはフランス語だと思いますが、少女に向けて送信された、実際の SNS 上でのメッセージを表しているみたいですね。

画面の左端のほうに、青い、小さな吹き出しのようなものが出ているのがわかるでしょうか。

実際にサイトに訪れて操作してみればわかるかと思うのですが、風船のいくつかは、マウスカーソルを重ねあわせると、それに反応して白っぽく光るような仕組みになっています。

画面の左端に出ている吹き出しには、その衝突判定で検知された風船に書かれているメッセージが表示されます。

英語がよくわからなくても、明らかにとてもネガティブなことを表す表現なのだろうなとわかるものが多いです。

今回の作品は、16 歳の少女が、日常的に浴びせられた悪意のある言葉の数々を全方位マッピングの状態で全方向から見せることで、まるで取り囲まれているかのような、逃げ道のないつらさみたいなものを露骨に突き付けてくる感じがあります。

インターネットが進化するなかで、SNS やインターネットを通じたネットいじめが日本でも社会問題になっていますよね。今回のコンテンツはフランスでの事件を扱ったものですが、いろいろと考えさせられるものがあるような気がします。

正直なところ、私はこういうコンテンツはあまり好きではありません。理由はいろいろありますが、やっぱり見ていて気持ちよくは、ありませんよね。でも、これはこれで、やはり何かを考えさせられるきっかけにはなると思います。また、こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、いじめに苦しむ人の心理を、自分自身を取り囲む風船という表現で見せるこの手法自体は、とても考えぬかれた表現であるように感じました。

気になる方は、チェックしてみてください。

リンク:

VOO - This was Louise's Phone

Digital TV, telephone and Internet cable account - VOO

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