まるで細胞が構成されていくかのような演出が見事なアイスランドのシンガー・ソングライターのウェブサイト
アイスランドを代表するシンガー
今回ご紹介するのは、アイスランド出身で世界的にも著名なシンガー・ソングライター、ビョークのウェブサイトです。
彼女はグラミー賞に何度もノミネートされるなど、なんとも華やかな経歴の持ち主。イギリスのとある音楽雑誌からは「歴史上最も偉大な100人のシンガー」にも選ばれています。
彼女自身、パソコンを使って電子的な音を作品に取り入れるなどしているそうですが、今回のサイトを彼女自身が作ったというわけではさすがに無さそうです。
幻想的な、不思議な雰囲気のデモを見ることができます。
よく見るといろいろな技術が詰め込まれている
今回の作品、テクスチャを効果的に利用した様々なテクニックを見ることができる技術的にも興味深い作品になっています。
全画面を覆うような形で WebGL のデモが実行される形ですが、3D モデルを利用して文字を表現していたり、その文字を描いていく過程までもアニメーションで表現されていたりして、結構細かいところまで観察していくと、感心するポイントがいくつもありますね。
淡い色を中心に、効果的にグラデーションを利用しつつ描かれる世界はどことなく幻想的な感じです。
今回のサイトは、ページを開いた直後の、シーンが構成されていく過程が非常に素晴らしい作品だと個人的には感じます。
最初に画面に現れるのは、細かな管のようなオブジェクト。これが、なんだか微生物の世界というか、顕微鏡でなければ見えないようなミクロな世界を連想させます。
そして、そのシーンのなかにまるで枝が伸びるような感じでパイプ状のオブジェクトが伸びてくるのですが……
気がつけばあっという間にひとつの細胞のようなオブジェクトが構成され、それと同時に、画面にはビョークの名前をあしらった文字が出てきます。
この文字の描かれる過程も細いラインが徐々に巻き付きながら伸びていくような感じで、とても面白いですね。
また、細胞のような大きなオブジェクトの表面は、鏡面反射的な光沢のある質感と、透明になっていて奥が透けて見える質感とが、面の傾きによって微妙に混ざり合うような処理がなされています。
これはちょっと 3D を自分で取り組んだことがないと言葉で説明されても理解するのは難しいかもしれないですが……恐らく、視線ベクトルと法線との角度次第で、鏡面反射の効果の強さを変えているんでしょうね。
シャボン玉のような感じの透明な膜が、縁の部分に近づくにつれて強烈な鏡面反射効果を付加されたような感じに演出されています。こういうのは、現実世界の物理現象でいうと、なんていう名前なんですかね……
ちょっと私は無知で恥ずかしいところなんですが、真似しようと思えば簡単に真似できそうな技術の割に、非常に見た目に面白い効果が得られているなと思います。
今回のデモで使われているテクスチャは見た感じ 6 枚くらいっぽいですが、そのなかには HSV のパレットのように、赤、緑、青とグラデーションしていくような柄の物が含まれています。これが多分、シャボン玉の表面のような、ビビットな色の揺らぎに使われていますね。
その他には環境マッピング用っぽい柄のものとかがありますが、結構テクスチャマッピングが工夫して実装されていて、非常に面白いです。
また途中でも書いたように、文字がパイプのようなオブジェクトで徐々に描かれていく様子が本当にすごいですね。こういうのは結構手間がかかると思うので、純粋に感心してしまいました……
世界的に著名なシンガーさんのサイトだけあって、一見シンプルですが、奥深い仕上がりの作品になっていると思います。
ぜひチェックしてみてください。