世界がまるで違って見える? 統合失調症についての社会的な理解を訴えるプロジェクトの特設サイト
グリッチで感じる疑似体験
今回ご紹介するのは、統合失調症への社会的な理解や、あるいは援助を目的としたプロジェクトのサイトに置かれているコンテンツです。
お恥ずかしながら、私は統合失調症について予備知識がほとんどなくて、どこか他人事という感じで詳しく調べたことはありませんでした。
今回は記事を書くにあたって、最低限のことだけは知っておかないとと思って調べてみたりもしたのですが、あくまでも素人がウェブで調べてみた程度の理解なので、もし間違ったことを書いてしまっていたら教えていただけますとうれしいです。
今回のサイトでは、統合失調症を患っている方の目線を疑似体験できるという、グリッチ表現などを駆使したコンテンツが置かれています。
多彩なグリッチのバリエーションは圧巻の出来
今回のサイトは、統合失調症を発症した方の目線を疑似体験できるもので、その症状を特に象徴するような視覚的効果として、グリッチのエフェクトを多用しています。
実際に、ローディング画面から既にその演出が始まるのですが、ありとあらゆるものが歪み、崩れ、散り散りになりながら揺れ動く様子は、もしこのような感覚が日常であったならとても大変なのだろうということを、嫌でも考えさせられる印象的な演出になっていますね。
ローディングが終わると、動画をベースにしたコンテンツが再生できるようになるのですが、この動画の映像も常にグリッチの演出が掛かったような状態になっています。
サイト内で見ることのできるグリッチ表現の種類がかなり多彩で、しかもどれもかなり程よくランダムな感じで、グリッチ演出としてのクオリティが高いですね。
グリッチのクオリティ、とかって言うといかにも胡散臭い感じに聞こえるかもしれませんが、グリッチ系は比較的よく目にする WebGL の表現のひとつで、ちょっとそれっぽくやっただけのグリッチと、手間をかけてしっかりと実装されたグリッチは明らかに違います。
言葉で説明するのは難しいところもあるのですが……
あえて簡潔に言うならば、その細かな挙動の違いとランダム性の豊富さにあると思います。
そういう意味で、今回のサイトのグリッチは非常に質の高いグリッチ表現と言って差し支えないと思いますね。
ズームブラーのように画面が歪んだり、RGB ずらしを同時に適用したり、とにかく多彩なグリッチ表現とエフェクトがすごい。
グリッチ演出の豊富さと、シーンに応じて挿入される「精神がかき乱されているかのような動画の差し替え演出」などが非常に良くできており、統合失調症の方がいかに苦しい思いをしているのかを考えさせられますね……
なんというか、グロテスクな表現とかは一切ないのですが、感情を強く刺激するような表情や発言、激しい画面の明滅などがあるので、そういうのが苦手な方はちょっと閲覧には注意が必要かもしれません。
技術的な目線で見てみれば、本当に他ではなかなか目にしないレベルの見事なグリッチ表現に思わず目を奪われることになると思います。
先日、Twitter 上で特に深い意味はなく WebGL 実装でグリッチやってるやつ多いよな~ みたいなことを言ってしまったのですが、今回のサイトに関しては、いわゆる「よくあるグリッチ」の域を完全に超えているように感じました。
なんというか、ウェブの表現にも流行り廃りがあって、WebGL によるグリッチ表現って、もうそれこそ、そこらじゅうで目にするわけですが、今回のサイトの場合は広義にはグリッチとして一括りになるかもしれませんが、中身はまったくもって別物という感じがします。
とにかく不規則、そしてその不規則さの幅さえもまた不規則、そのうえ多彩な表現が折り重なり組み合わさり、複雑怪奇な世界観を見事に体現していると思います。
まあちょっと個人の感想がバイアスとしては強く入りすぎている感じの紹介になってしまって恐縮なんですが……
本当によくできた演出なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
この記事で、統合失調症を発症されている方を誹謗中傷したり揶揄したりする意図はありません。念のため。