自分自身を振り返ることができる Media.Monks が公開している共感性に関する体験型コンテンツ
丁寧に作り込まれた現代的コンテンツ
今回ご紹介するのは、世界的にも有名なスタジオ Media.Monks が公開しているコンテンツで、共感性をテーマにしたインタラクティブコンテンツです。
いわゆる職場に代表される他人との関わりが発生する環境で、いかに共感性を大事にできているかをいくつかの質問に答えることで判定してくれる、というような内容になっています。
これくれぐれも悪い意味ではなく単純な個人的感想として書くのですが、実にアメリカっぽいコンテンツだなって感じます。もちろん、我々日本人にとっても大切なテーマだと思いますし、実際に体験してみるといろいろと考えさせられるような内容となっています。
リンク:
Media.Monks | The Empathy Experiment
キャラクターたちがいきいきと動く
現代のウェブサイトには「ぜひサウンドをオンにして楽しんでください」みたいなウェブサイトがすごく多いと思うのですが、今回のサイトは圧倒的にサウンドオンで体験することを個人的にはおすすめします。
これは「より良い体験を得るため」というニュアンスよりは「ウェブの制作に関わる立場として UI/UX の工夫を実体験するため」という意味です。※自分はウェブの制作者じゃないし別に気軽に見たいだけだよ、というスタンスでももちろん全然問題ないと思います。
今回のサイトはビジュアルがすごい、内容が濃い、ということはもちろんなのですが、音がすごく効果的に使われていると思いますし、それを体験しないのはちょっともったいない感じがします。
サイト内のコンテンツは大きく3つのパートが用意されており、それぞれにテーマがあります。
たとえば最初のパートは JOKE がテーマになっていて、何気なく発したジョークの内容に傷ついた人がいた場合に、どういうふうに振る舞うのいいのだろうか、というような感じですね。
全編英語なので、細かい精神面の機微みたいなところが英語話者でないと若干わかりにくいんじゃないかなというのはあるんですが…… それでも、登場するキャラクターの表情や話している内容の単語を拾っていくだけでも、ある程度は意味が伝わってくるのではないかなと思います。
JOKE のパートでは、あるシチュエーションが描かれた後にその渦中のキャラクターから相談を持ちかけられた、というような場面へとシーンが転換します。
そこでユーザーは悩みを抱えた相手に対してどう答えるべきかを3択で選んでいくような感じですね。
正しく共感性を意識した返答ができると、相談を持ちかけてきた側のキャラクターがどんどん心を開いてくれるような感じで外見や表情が変化していくのですが、ちょっと共感性が低い返答をしてしまうと心の扉を閉ざされてしまったように描かれます。
なんというか、人間関係の難しさみたいなものが直球で表現されていて、相談を持ちかけてきたキャラクターがザッと距離を取って離れてしまう様子とかが心にグサッと来ますね……
コンテンツの冒頭や体験終了後に表示される部分にも書かれているのですが、人間関係には「絶対の正解」は無くて、また共感性は訓練することで伸ばすことができる一種の能力だよ、という感じのことがユーザー(コンテンツを体験している閲覧者)には示されます。
模範解答はもしかしたらこういう感じかもね、というように正解が示されたりするのですが、こういうセンシティブな問題とまっすぐ向き合っているというのがまず素晴らしいことだなと個人的には感じました。
日本でも、なんでもかんでもハラスメントになってしまってそれが逆に問題視されたりすることがあったりします。必ずしもいずれかの選択が唯一の正解なのではなく、お互いに歩み寄ることや、相手の心情に共感しようと努力することが大切なのかもしれません。
WebGL の事例としてはもうただただレベルが高く、印影の付け方、モーションの付け方、またシンプルな造形のなかに複雑な表情や感情をうまく盛り込んでいる部分など、コンテンツのレベルがとても高いです。
ぜひチェックしてみてください。