150 年以上前からの長い年月に渡る気温変化が手に取るようにわかる WebGL デモ
近年の急激な上昇が目に見えて感じられる
今回ご紹介するのは、地球上における気温の変化を可視化した WebGL デモ作品です。
こういった研究や観測のデータを可視化する系のデモはそれほど珍しくはありませんが、今回のデモはなんと 1850 年という、かなり昔からのデータを一気に可視化することができるのが特徴で、とても興味深い作品になっています。
WebGL の描画そのものは簡易なものですが、これだけ大量のデータを一気に三次元で立体的に見ることができるというのは、とても貴重な体験だと言えるのではないでしょうか。
球体と平面のふたつのビューを備える
今回のデモは、なんといってもその長い長い期間に渡る大量のデータを可視化できる点が素晴らしいですね。
実際に動かしてみるとわかりますが、CG としての描画には特に変わった技術は用いられていませんが、球体のビューと平面のビューを自由に変化させることができたり、時系列アニメーションを利用して移り変わりをわかりやすく可視化することができたり、なかなかに機能性は豊富です。
全体にシンプルな印象の見た目ですが、なんといってもそのデータそのものがすごいです。
近代になるとかなりの勢いで温度が上昇していくのがわかります。
上の画像は、画面の右下の部分を見るとわかるかと思いますが、1850 年の状態をキャプチャしたものです。
1850 年を単に 160 年くらい前のこと、と考えてしまうとどうもイメージしにくいですが、ペリーが黒船で日本にやってきたのが 1853 年のことですから、それを考えるとどれくらい昔のことなのか、よくわかりますね。
まだ日本人が髷を結っていたころのデータということになります。
うーん、すごい。
これって実際の観測データではないのかも(予測データ?)しれませんが、それを踏まえて考えてみても、ちょっと唸ってしまいますね。
ちなみに、2016 年の一番新しいデータが以下の画像です。ちょっと痛々しくも見えるほどの変貌ぶりです。
球体になっているとちょっとわかりにくい部分もあるので、そういうときには画面の左下にあるボタンから、平面ビューのモードに切り替えてみましょう。
こちらの平面ビューで見てみると、陸地の上と、海上とでは、温度の変化の仕方が若干違っていることがわかったりもします。
非常に単純な見せ方の違いのようにも感じますが、実はこうしてしっかりとデータを可視化してみると、また違った知識や感覚が得られて面白いですね。
これらのデータは、1961 年から 1990 年までの、基準となる温度を一度算出し、それと比較したデータとして色付けを行っているようですね。
元になったデータはイギリスの気象庁にあたる機関で収集したもののようなので、それなりに正確なデータなのだろうということが予想できます。
色がグレーになっている部分は、基準温度との差が少なかった部分か、あるいはデータが存在しない部分なのかなと思いますが、2000 年以降は本当に恐ろしい勢いで気温が上昇しているのがわかりますね。
これまでにも、こういった地球の歴史や変動の様子を可視化したデモはたくさんありましたが、今回のような長期間に渡るデータの可視化は、ちょっとめずらしいなと感じました。
また、球体だけでなく平面でも見ることができるというのは、実はありそうで、なかなか実装されていない機能かなと思いますね。ただデータを公開して終わり、ということではなく、しっかりと見る人が様々な観点から考えられるような工夫がされているのは、とても素晴らしいと思いました。
あまりエンターテイメント性のあるデータの可視化ではありませんが、非常に興味深い内容になっていると思います。
ぜひチェックしてみてください。