その天才的な感性に震える! 韓国人開発者の手による WebGL 製デジタル絵本がマジですごい!
ボクセル風の世界を舞台に描かれる物語
今回ご紹介するのは、韓国でデザイナーやイラストレーター、フロントエンドの開発者として活動している @302chanwoo さんのウェブサイトです。
最初にこの作品にひととおり目を通したとき、本当に震えがくるほどの感激がありました。シンプルなボクセル(箱)状のオブジェクトを複雑に組み合わせ、動かし、照らし出すその作風は、本当に見事という他ありません。
あまりにも興奮してしまった私は、その瞬間に深夜だったんですが chanwoo さんにメールを送りました。今回は、そんなメールのやりとりなどからうかがった、chanwoo さんが制作で特にこだわった部分なども含めてご紹介しようと思います。
空気感を感じさせる印象的なデジタル絵本
今回の作品は、あまり作品の詳細について私があれこれ言うよりも、実際にそのサイトを見てもらうほうがいいでしょう。
その独特な、どこか幻想的な空気をいっぱいに含んだ作風は本当に素晴らしくて、溜め息が出そうになります。
作品の特徴は、なんといっても全てのオブジェクトがボックス型の形状のみで構成されていること。いわゆる、ドット絵などが持つどこか暖かな雰囲気が見事に表現されていると思います。
ちなみに、シーンを次の場面へと移動させるには、画面の右下にあるページの端が折れ曲がったようになっている部分をクリックしましょう。この演出も、絵本らしい演出で作風にしっかりとマッチしていますね。
物語の中心は、ウサギのキャラクターとたんぽぽの綿毛です。
ボクセルで表現された世界のなかを、一羽のウサギがたんぽぽを抱えて巡っていきます。
最初のうちはシンプルな構造をしているシーンが多いのですが、徐々に、少しずつシーンが変わっていき、いろいろな世界を旅していきます。
個人的に非常に素晴らしいなと思ったのが、その表現力です。
箱型のオブジェクトのみで描き出されているとは思えないような、空気感さえ感じさせてくれるシーンが次々と描き出されていきます。
デジタルな絵本、と題するだけあり、暖かな雰囲気だけでなくそのままインタラクティブにカメラを操作したりできるなどの、WebGL 作品ならではな部分もあります。
お気に入りのシーンを見つけたら、ズームしてみたりあるいは少し引いた視点から眺めてみたりと、じっくりとその世界を楽しむことができます。
作者の chanwoo さんとは、もちろんもともと面識はまったく無かったのですが、あまりにも感動した私は勢いで思わずメールを出してしまいまして、唐突にいろいろ chanwoo さんにメールで作品について質問してしまいました……
そんな唐突なお願いにもかかわらず、快く今回の作品について教えて下さいました。
ライトによる微妙な明暗の表現など本当にすごい。
chanwoo さんいわく、今回の作品では特に「シーン遷移」にこだわって実装したとのこと。これ、実際にサイトに行って見てもらえばわかるのですが、本当にアニメーションが自然で見事なんですよね。
パッと突然シーンが変わるのではなく、少しずつオブジェクトが形を変えたり動いたりしながら、気がつけば全く違った世界になっているのがすごいです。
シーン遷移の部分以外にも、それぞれの場面には動くオブジェクトがたくさん登場しますので、それらのひとつひとつがどのようなアルゴリズムで動いているのか、想像しながら眺めてみるのもいいかもしれませんね。
chanwoo さんは、あまりモデリングなどの技術に明るくないため、あえて箱型のオブジェクトだけを使って表現することに挑戦してみたのだそうです。
反面、あえて箱型だけに限定したことによって、様々な「動きの表現」に対する意識が高まり、結果的に今回の作品に独特な世界観を持たせることに成功したのだと思います。
ランダムな動きを積極的に取り入れつつも、それらがけして破綻したり、互いに衝突しあったりするのではなく、極めて自然な形でひとつの作品として成り立っています。
当サイトではこれまで韓国を含むアジア圏の作品を紹介することがどうしても少なかったのですが、これほどの作品に出会えたことに本当に感激しました。
みなさんも、素晴らしいデジタル絵本の世界を楽しんでみてください。
ぜひチェックしてみてください。