サイバーな世界観の三次元空間を進んでいく WebGL 製のショート MV 作品 run_grids
まるでネオンのような質感
今回ご紹介するのは、音楽作品のリリースに合わせて制作された WebGL 製のミュージックビデオのような作品です。
デジタルミュージックと WebGL を利用したビジュアルとを組み合わせて作品を発表している形で、実は過去にも、当サイトで紹介したことがあるユニットの作品になります。
今回のサイトはビジュアルのほうは比較的シンプルで落ち着いた印象ですね。ウェブ上で視聴が可能な音楽作品のほうも、なんとなく落ち着いたデジタルミュージックという感じで、ビジュアルとサウンドの雰囲気はぴったりと合っている感じがします。
フォグの使い方やシーン変化に注目してみよう
今回のサイトは数分で再生が終わる、一曲のデジタルミュージック用のデモとなっていて、それほど時間を掛けずに、サクッと閲覧できるボリューム感です。
サイトを訪れると、最初から雰囲気満点のタイトル画面が出てきます。
緑色のネオンを思わせる光に満ちた空間の中を、奥へ奥へと進んでいくようなシーン構成です。
生成を開始した直後は、カメラはキューブ型のオブジェクトによって形成されたトンネルの中を進んでいるような感じになっており、このキューブ型のオブジェクトがところどころ抜けていることで、複雑な空間にいるかのように見えます。
キューブが動いたり、キューブに投影されているテクスチャが切り替わったりするので、めまぐるしいとまでは言いませんが、シーンの中に収められている動きの量が結構多く、いい意味で騒がしい感じにも見えます。
画面の中央部分には鏡面反射の質感を持つメタボール状のオブジェクトが登場しますので、シンプルなシーン構成なんですが見ていて楽しいです。
今回の作品を見る上でのポイントは、一緒に再生されている BGM とのシンクロではないでしょうか。
音楽の雰囲気が変わった瞬間など、なにかしらのタイミングに応じてシーンのなかに変化が起こります。
それはオブジェクトの動き方であったり、あるいは移動するカメラのスピードであったりするのですが、時にはフォグの掛かり方が変化するなどシーン全体の雰囲気が変わってしまうような変化もあります。
今回のデモは、恐らくポストエフェクトを使っていないと思うのですが、それでも多彩な動きや演出が仕込まれているので、あまり単調になりすぎることもなく、最後まで割りと飽きること無く見ていられるのではないでしょうか。
強めにフォグが掛かりシーン内に陰影がほとんどなくなってしまう場面も。
楽曲の制作と WebGL によるビジュアル表現を並行して行っているひとはそれほど多くはない印象ですが、ときどき、それらを自分たちで両方共やってしまうという才能豊かなひとがいますよね。
今回のサイトを見ていると、やっぱりポストエフェクトを使っていないこともあって、CG として見たときにはちょっと物足りない感じのビジュアルのようにも感じてしまうのですが、一方で、多彩に見え方が変化するシーン構成にはいろいろな工夫が凝らされており、とても参考になりますね。
そもそも音楽は目には見えないものなので、微妙な空気の変化を演出する感性が、音楽家のひとたちって高いんじゃないかなって感じることがあります。
動き、あるいは陰影の付け方、登場するオブジェクトの有無など、それぞれ単体では非常に小さな変化なのですが、組み合わさったときにはなにかそこに意図的に仕組まれた意味があるかのように見えるというのが、なんとも不思議です。
シンプルな作品ではありますが、気になる方はぜひチェックしてみてください。
リンク:
Polyop - run_grids - Free EP out now
funwithtriangles/polyx0x-001: WebGL visual element of the Polyop's "tests" EP release