ドラマに登場する衣装を 3D 空間に配置した Netflix のスペシャルサイト The Queen and The Crown
とても美しいビジュアル
今回ご紹介するのは、Netflix が公開しているスペシャルサイトです。
提供元が Netflix なので想像がつくと思うのですが、今回のサイトは Netflix で配信されているドラマ作品にちなんだものになっています。
具体的には、The Crown というアメリカ・イギリス合同制作のドラマと、The Queen's Gambit というアメリカのドラマですね。
両作品に登場した様々なコスチュームを博物館のようなバーチャル空間で閲覧することができるものとなっています。
リンク:
The Queen and The Crown: A Virtual Exhibition of Costumes from “The Queen's Gambit” and “The Crown”
画像と 3D データを活用したコンテンツ
今回のサイトでは、3D のモデルデータを利用した三次元的な表現だけでなく、いわゆる普通の画像を上手に利用した擬似 3D 表現が使われています。
また、CG として陰影を計算して描画するのではなくテクスチャにベイク(陰影を焼き込む)することで質感を向上させていたり……
負荷を抑えながら見た目もできる限り上質に仕上がるよう、様々な工夫がされています。
たとえばトップページ最初に表示される博物館の外観は 3D データを用いた描画ですが、なかなかキレイな質感に仕上がっていますよね。
このスクリーンショットをよく観察してみると、博物館風の建物の表面にある凹凸と、それによって落ちる陰影がかなり美しく描画されているように見えるのではないでしょうか。
いわゆるアンビエントオクルージョン的な陰影がキレイに出ており、立体感がありますよね。
この凹凸に対して落ちる陰影部分は、シェーダを使って動的に陰影を計算しているというわけではなく、陰を焼き込んだ画像をテクスチャとし、それを貼っているだけなんですが……
見た目の質感はすごくうまく仕上がってるなと思います。
入口のところには、今回のサイトで扱っている2つのドラマが垂れ幕で飾られている。
画面上でマウス操作を行い進んでいくと、博物館の内部にシーンが遷移します。
建物の中も立体的な空間で表現されており、そこにマネキンと衣装がずらりと並べられた状態になっています。向かって奥に The Crown の衣装、手前には The Queen's Gambit の衣装が並べられています。
衣装の1つ1つには、細かく解説が添えられているのですが、これらはドラマを視聴済みのファンならば思わず唸る、なかなか楽しめる濃い内容になっているんじゃないでしょうか。
CG 的な目線で見ると、衣装の部分は 2D 画像を使って擬似的に 3D っぽく表現していて、これはこれでディティールが失われておらずなかなか正しい選択だったのではないかなと感じました。
衣装を着たマネキンの部分は、先程も書いたとおり擬似 3D 表現なのですが、3D 空間のカメラの位置に応じてどの画像を描画するのかとか、結構工夫して実装されているなと思いました。
軽快に動作させつつ、ディティールも失わず、しかし 3D 的な面白さや空間の広がりも感じさせる…… なんとも欲張りな感じですが、しかしそれが思いの外きれいにまとめられてるんですよね……
コンテンツの量も結構ボリュームがあるので、資料として楽しむのもアリだと思います。
ぜひチェックしてみてください。
リンク:
The Queen and The Crown: A Virtual Exhibition of Costumes from “The Queen's Gambit” and “The Crown”