密林に潜む野生の息遣いが聞こえるかのよう……培養肉を研究・製造する GOOD Meat のウェブサイト
未来はもうそこまで来ている……のか?
今回ご紹介するのは、GOOD Meat という企業のウェブサイトです。
こちらの企業は「人工的に作られた培養肉」を研究しているようで、今回のサイトではいわゆる鶏肉をテーマにしています。
培養肉というとどういうものなのか想像するのがちょっと難しいかなと思うのですが、サイトの説明を読んだ感じだと、実際に鶏から採取した細胞に人工的に栄養などを与えて培養し、本物の鶏肉と同じものを作ってしまうということのようです。
要するに人工的に培養された鶏肉の細胞なので、鶏の命を犠牲にすることなく、本物の鶏肉が得られるということが彼らの主張でありビジネスの根幹でもあるようです。
なんだかすごく未来の話のような雰囲気ですが、実際にシンガポールでは一定の安全性があることなどが認められているようです。(私の怪しい英語の読解力での解釈ですので、本当に気になる人は実際にサイトに書かれていることをしっかり読んでみてください)
リンク:
GOOD Meat | The future of meat
あえて顔を描写しない 3D シーンは迫力がある
今回のサイトでは、WebGL を利用して鶏の姿を描いています。
といっても、いわゆる日本人が普通にイメージするブロイラーのような鶏ではなく、野性味あふれる(日本風にいうと地鶏のような)姿をしていますね。
羽、特に尾羽根が非常に印象的な、すごく美しい鳥の姿がなんとも迫力があります。
今回のサイトでは、実は 3D モデルとしてはこの鳥のモデル一種類しか登場しません。
カメラワークや背景の柄が変化することはあるのですが、常にシーンの中心にはこの鳥の 3D モデルが描かれるようになっていますね。
ただ、このカメラワークがまたなんとも絶妙な仕上がりになっていて、スクロールに連動しながら様々なアングルでシーンを描いていくのですが…… これがすごくかっこいいですね。
あえて足元だけにフォーカスしたシーンがあったりして、すごくよく考えて作られているなと思いました。
全体的に、ポストエフェクトも使ってシーンが描かれていて、単純に CG として見ていて気持ち良い、高品質なグラフィックスになっていると思います。
ビジネスの内容としては、人々の生活に直結する「食」をテーマにしているものだけに、特に日本のような文化圏では受け入れられるのに時間がかかりそうかなとは想像してしまいますが、どうなんでしょうね……
10年、あるいは20年と時間が経過していく中で、いつの日か培養肉を利用して誰もが安心・安定した食生活を確保できるようになっていく、なんていう未来もあるのかもしれません。
そういうものを予見させるような、先鋭的な雰囲気が見事にサイト上で表現されているなと個人的には感じました。
今回のサイトでは、あえて「鳥の顔を直接カメラに映さない」ようにしているんじゃないかなと想像します。
顔を映さないことで、鶏自体の個性が奪われるというか……
あまり直接的に命を感じさせないビジュアルになっていると思うのですよね。
わざわざ鶏の命を奪うなんてことをしなくても我々は食用肉を得ることができるんだよ、ということを、遠回しにビジュアルでも表現しているのかもしれません。(やや飛躍しすぎた推理かもしれませんが、私はそんなふうに感じました)
CG としても非常に美しくて、シンプルながらメッセージ性の強いウェブサイトだと思います。
ぜひチェックしてみてください。