かつて実在した煩わしく残念な体験を展示する未来の博物館(というテーマの) The Museum of Annoying Experiences

doxas : 2021-06-02 13:51:56

風刺の効いた独特な世界観

今回ご紹介するのは、カスタマーサービスのためのサービスやソフトウェアを開発するグローバル企業 Zendesk が提供しているコンテンツです。

日本でも事業を展開している同社ですが、今回のサイトは英語仕様ですね。

西暦 3,000 年という未来の世界の視点から現代を風刺するような内容となっていて、実在した煩わしいユーザー体験を博物館で展示しているという体裁です。

リンク:

The Museum of Annoying Experiences | Home

思わずニヤリとしてしまうような内容ばかり

今回のサイトは 3D のシーンを中心に構成されており、基本的にはグラフィックスは 3D として描かれます。

同時に画面上に表示される文章などのコンテンツについてはもちろんほとんどが 2D というか、普通のウェブのドキュメントになっていますが、3D 空間上に立体的に投影される文字なんかも一部ありますね。

未来の世界にある博物館という設定なので、展示されているオブジェクトが宙に浮いたりしているのですが、それはそれで世界観にマッチしているというか、違和感なく見ることができますね。

サイトがロードされた直後は、上のスクリーンショットにあるような感じで「この博物館がどういうものか」というのがあらすじ的な感じで短く紹介されます。

このとき、背景にはブラーの掛かった風景がレンダリングされていて、静止画のキャプチャ画像ではわからないですが、ゆらゆらと絶えず揺れるようにうごめいています。

実際、画面上にある Enter ボタンを押した直後もシーンが歪んだ状態からスタートするのですが、ポストプロセスによるエフェクト表現が上手ですね。

ヴィネットの質感も博物館の静かで薄暗い雰囲気をうまく表現できていると思います。

影関係は恐らく完全にベイク(あらかじめ陰影を焼き込んでおいたテクスチャを貼り付けることで影が落ちているように見せる)でしょう。

ベイクした影で陰影処理周りの負荷を極力軽減しつつ、ポストエフェクトで絵を盛っていくスタイルですね。

シーン全体の雰囲気としてブラーがかなり効果的に演出されていて不思議な世界観の構築に成功していると思います。

扱われている題材もなかなかおもしろいものばかりで「リモートワークで下半身がおざなりになった人類」や「人間であることを証明するあの消火栓」など、おもわず笑ってしまうようなものが用意されています。

Zendesk はカスタマーサポートなどを支援するサービスを展開する企業なので、今回のようなサイトを通じて自社のサービスを販促しているのだと思いますが、企画としてすごく面白いなと感じました。

ビジュアル的にも、ちょっと幻想的な感じの、近未来の博物館というのが上手に表現されていますし、パッと見た印象以上に CG を丁寧に実装していて好感が持てます。

WebGL を使ったシーンづくりっていわゆる「普通の平面的なウェブ」とは全然違う素養が求められる場合があると思うのですが、今回のようなサイトはその最たる例だと思いますね。

ありがたく参考にさせてもらいましょう。

ぜひチェックしてみてください。

リンク:

The Museum of Annoying Experiences | Home

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