子どもたちと一緒に考える人権問題の手引き――絵本のような軽いタッチで向き合う重厚なテーマ

doxas : 2021-06-04 14:40:37

日本人にはちょっとわかりにくい感覚なのかも

今回ご紹介するのは、恐らくですが主に白人をターゲットにした人権問題に関するテーマのウェブサイトです。特に、これは子どもを持つ白人の親に対しての啓発を促すものなんだと思います。

日本でも、もちろん人権問題はゼロというわけではないでしょうが、白人の社会におけるこの問題は本当に根深く、現代においても最も難しい社会問題の1つなのだと思います。

今回のサイトでは子供と一緒にこれらの問題と向き合うための手引きとして、絵本のようなビジュアルが採用されています。

リンク:

HTWKR - How to Talk to White Kids about Racism

当然ながら、引用されている文章は短く読みやすい

子ども向けの絵本のようなテイストのグラフィックスが特徴となる今回のサイトでは、使われている文章も必要最低限という感じです。

絵本のようなタッチなので当然と言えば当然ですが、イラストからしっかりニュアンスが伝わるように工夫されており、結果的に英語が母国語ではない我々日本人でも読みやすいと思います。

イラストも可愛らしい感じで、とても優しい雰囲気です。

最初の1ページは前書きのような内容ですね。

実際の本のなかで述べられている内容についてはここでは詳しく解説しませんが、子どもを対話の相手として、子どもだけでなく大人も一緒にこの問題について深く考えることができるよう工夫されています。

WebGL の実装という観点で見てみると、言葉で説明するのがめちゃくちゃ難しいのですが、絵本が置かれている 3D 空間をレンダリングしているというだけではなくて……

絵本の中の世界も、同時に立体的な奥行きのある空間になっているんですよね。この感覚が実に面白い効果になっています。

たとえば以下の画像と、上のほうにあった画像を見比べてみると、クマのキャラクターの位置が変化していますよね?

このような、2つの空間を同時に扱うような見せ方って、恐らくなんですけど見ている人間にいろんな意味で「違和感」を感じさせるんだと思います。

でもだからこそ、その違和感が好奇心を刺激してきますし、視覚的にも思わずぐっと身を乗り出してじっくり観察したくなります。

いくつかのレイヤーに別れた絵本の中の世界。そしてその絵本自体を俯瞰して見ている 3D シーンという世界。さらにはそれをディスプレイ上にマッピングしたブラウザの世界と、最終的にそれらすべてをブラウザ越しに見ている私達の現実世界……

いろんな空間が折り重なった不思議なコンテンツですね。

人権問題って、人類がこれからも繁栄・存続し続けていくためにはいつか解決しないといけない問題なのでしょうが、それをどういった形で解決することができるのか…… あるいはできないのか。誰にもその結末を正確に予測することはできません。

現代の日本人的感覚では、人権問題ってあまり身近に感じない人が多いかもしれないですが、コロナウィルスの影響で欧米諸国ではアジア系の人種というだけで差別を受けてしまうなんて話も記憶に新しいところですし、実際けして無関係というわけでないでしょう。

たとえば職場とか、あるいは家族とか、そんな小さな社会のなかでも偏見や差別はあったりしますよね。綺麗事かもしれないけど、最後はやっぱり、対話して歩み寄っていくしかないんでしょうね。とても難しい問題だと思います。

今回のサイトのように、まずは問題を提起するところから、始めていかなければならないのだと思います。

WebGL の実装としても、3D 的な操作と UV スクロール的なインタラクションの組み合わせがなんとも面白い実装になっています。

ぜひチェックしてみてください。

リンク:

HTWKR - How to Talk to White Kids about Racism

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