あえてレトロにドットを用いた表現で構築されたストーリー仕立てのクリックゲーム basement chronicles
とにかく手が込んでいる
今回ご紹介するのは、ゲーム系の開発スタジオ basement.studio が公開しているウェブサイトです。
今回のサイトはどうやら結構大きな取り組みの一部らしく、まだその全貌は語られておらず、詳細はよくわかりません。ただ、今回のサイト単体で見てもかなり手が込んでおり完成度が高いです。
インターネットの暴走によって人類の社会も崩壊寸前、みたいな世界観だと思うのですが、全体が英語なのでちょっとわたしには細かいニュアンスとかがわからないところが多かったです……不甲斐なし。
リンク:
basement chronicles | The Beginning
クリックなどの簡単な操作のみで進行できる
今回のサイトでは、全体的に古のインターネットやレトロな(それこそブラウン管ディスプレイが主流だった)時代を想起させるビジュアルに統一されています。
簡潔に言えばドット絵のような雰囲気を強調した絵作りになっていて、すごく完成度が高いですね。
本当のブラウン管ディスプレイは、それ特有の滲みみたいな効果が生じるのですが、そういった細かい部分まで再現しているわけではなさそうです。
ただ、それに近づけつつ見やすさなども考慮した、いかにもゲーム系のスタジオらしい完成度の高さです。
スクリーンショットでも、その雰囲気はかなりしっかり伝わるのではないでしょうか。
ドットがはっきりと視認できるほどの大きさで描かれているほか、陰影などの表現はなめらかなグラデーションではなく、Bayer matrix を用いたディザリングによって表現されています。
また、このような「イラストを使った絵作り」の他にも、比較的リッチな CG をドット絵ふうに加工した状態、というのが画面上に出てくる場面もあります。
全体の進行としては大まかに、まずイラストをドット絵として描画しつつストーリーを説明する導入部分があり、それが終わるとリッチな CG をドット化したような本編が始まる、という感じですね。
本編のほうは怪しい部分をクリックしながらストーリーを進行していくようなゲーム仕立てになっており、いくつかの条件を満たさないと先に進めないような本当にゲームっぽい内容に仕上がっています。
ストーリーを進めていくと、そのなかでミニゲーム的なものに挑戦する場面もありますし、結構ボリュームがありますね。
通しでプレイして、スムーズに進行していけばおおよそ5分前後くらいじゃないかなと思います。
今回のサイト、副題として「The Beginning」とあるので、なにかしらの形でシリーズ化していく予定があるのかもしれません。
イラストをドット絵として描画しているシーンでは、いわゆる深度マップを使った疑似立体表現が用いられています。おそらくドット絵の印象が強すぎてそれに気がつく人はあまり多くないと思いますが、かなり芸が細かいなと感じました。
ゲームの本編のほうでも、数多くのシーンとインタラクションが用意されていて本当にすごく手間が掛かっています。
CG をある程度自分で実装したことがある人ほど、見ていて楽しい発見がいろいろありそうなサイトだなと感じます。
ぜひチェックしてみてください。