ウェブで 3D プリント用のデータを作りデザインすることを目指したプロジェクト Vase のウェブサイト
日本の研究機関主導のプロジェクト
今回ご紹介するのは、3D プリンタで出力することが可能なデータを、ウェブでインタラクティブに制作することを目指したプロジェクトのデモサイトです。
今回のプロジェクト、なんと日本の山口県にあるアートセンターで、海外のデザイナー兼エンジニアの方を招いて行われた研究の、その成果の一部のようですね。
サイトのほうは、恐らくデザイナーさんのほうが主導で公開しているものだと思いますが、山口県という我々にとって馴染みのある地名を目にして、とても親近感がわきました。
ウェブで 3D データを作るということ
今回のプロジェクトは、2016 年のはじめころまで行われていたプロジェクトのようで、山口県にある「山口情報芸術センター」というアートセンターで実施されていたものです。
アメリカのデザイナーであり、エンジニアでもある REZA ALI 氏を招いて行われたこのプロジェクトでは、ウェブ上で 3D データをいかにしてデザインするか、という点をテーマにしていたようです。
以下は、山口情報芸術センターのウェブページからの引用です。
近年、オープンソース運動やパーソナル・ファブリケーションの普及に伴い、徐々に3D技術は身近な存在となっています。 今回は、3Dプリンターで印刷可能な3Dデータを生成するための、ウェブ上で機能するデザインツール・インターフェースの研究開発と、そのためのソフトウェアライブラリの制作をおこないます。
ウェブサイトに行くと、花瓶のような形をした 3D オブジェクトが置かれています。
そして、キャプチャ画像では小さくてちょっと見えにくいかと思うのですが、画面の右上のところに、アイコン状のメニューが並んでいます。
この中のスライダーのような模様をしているアイコンをクリックすると、画面の右側にたくさんのスライダーなどが並んだインターフェースがせり出してきます。
このスライダーを操作することによって、3D モデルの形状を自由自在に変化させることができるようになっています。
その他にも、たとえばワイヤーフレームでモデルを表示させたり、あるいはもともとの形状にリセットさせたりする機能がメニューのなかには設けられています。
また、3D プリンタに対応したデータを生成する、というところまでの一連の作業をウェブ上で行えるような設計になっていて、その時点での 3D モデルの形状を、いくつかのファイル形式でダウンロードするための機能も持っています。
対応しているダウンロード形式は PNG、OBJ、STL ですね。
3D プリンターの多くは STL に対応しているので、ウェブ上でデザインしたデータがそのまま 3D プリンタの入力ファイルとして利用できるわけですね。
字が小さくて見えにくいですが、画面の下にあるテキストボックスからはダウンロードするファイルの名前なども指定できるようになっています。
山口県情報芸術センターは、通称 YCAM と呼ばれる地域に密着したアートセンター。こちらでは、いくつかのプロジェクトが施設内で研究を今も継続して行なっており、今回紹介したプロジェクトは既に、過去に行ったプロジェクトというカテゴリのほうに分類されていました。
YCAM のウェブサイトにはイベント開催のスケジュールなども公開されているのですが、これを見る限り、本当に絶えず様々なプロジェクトやイベントが行われているみたいで、すごいですね。
今回紹介したプロジェクトも、やはり研究という枠組みのなかで行われたものなので、サービスとしてローンチされているとか、そういったことではありません。しかし、ブラウザでこんなふうに気軽にデザインツールにアクセスして、なんとも手軽にオリジナルデザインが行えるというのは素晴らしいですね。
工芸やアートといったジャンルにとっても、ウェブが重要な役割を果たすことができる、そんな可能性を感じさせてくれるプロジェクトだと思いました。
気になる方はぜひチェックしてみてください。