WebGL 製コンテンツも作品の一部!? 独特な雰囲気をたたえたビジュアルポエトリー A Pill Is A Moon
ギリシャ在住の女性アーティストの作品
今回ご紹介するのは、そのウェブサイトも作品の一部なのかなと感じさせるような、不思議な雰囲気が面白いサイトです。
ギリシャに住む女性アーティストの Kroutsef さんは、詩とビジュアルを組み合わせた作品集として A Pill Is A Moon を発表し、同時にこのサイトを公開しているものと思われます。なんせ情報があまりないのでよくわからないのですが、独自の強烈なセンスが込められた WebGL コンテンツからも作風が伝わってきますね。
恐らく日本の文化で言えば「同人誌」に近いものだとは思うのですが、それでも不思議な雰囲気はなかなか興味深いものがあります。
グリッチノイズを使った崩れた表現
今回のサイトのテーマである詩集のタイトルが「A Pill Is A Moon」なわけですが……
普通にそこに並んでいる単語を見ただけでも、一風変わった作品であることはなんとなく想像できるような、そんなタイトルです。
今回のサイトのほうは、この Pill と Moon がやはり表現の中心的存在になっていて、ページがロードされた直後から早速登場します。
「drag to the left」とややぶっきらぼうな感じでメッセージが出ていますが、ここでおもむろに画面をドラッグしてやると、突然謎の効果音と共に画面全体がノイズに歪んだような、そんな演出が入るようになっています。
ドラッグする量は一定までは蓄積されるような感じになっていて、プログレスバーが伸びていくかのように、オレンジ色の枠がドラッグ操作と共に徐々に長く伸びていく演出となっています。
サイト全体に、どこか廃退的な雰囲気が満ちていて、そういった世界観を表現する上では、グリッチノイズなどがうまく機能しているように見えますね。
そしてドラッグ操作を一定量行うと、錠剤のモデルが高速に回転しはじめ……
それがやがて月に変わります。
まさにタイトル通りの演出ですね。
画面の中心に月が出てきた状態からも、やはりグリッチノイズの演出が続きます。
ここでひとつ面白いなと思ったのが、ビジュアルがザザザッという感じで崩れる際には、同時に再生されている音声のほうにも激しくノイズが混じったような演出が加えられるようになっている点です。
目だけでなく、耳からも、そのノイズの揺らぎを感じられるのはなかなか面白いです。
なんとなくビジュアルも詩的というか、アーティスティックな感じというか……
不思議な感じです。
もしかしたら批判的な意見に聞こえてしまうかもしれませんが、それでもあえて正直に書きますと……
グリッチノイズによる演出は最近そこらじゅうで見かけるので、もはや目新しくもなんともないし、とりあえずグリッチ乗せとけばいいだろみたいな雰囲気を感じないわけでもなく、なんとなく安易な演出すぎるなと個人的には感じることが多いです。
ただ今回のサイトの場合は、ビジュアル表現だけではなく、音にもノイズの影響を同期させているというのが非常に面白くて、あまり既存のモノっていう感じがしないですね。
グリッチノイズの演出が悪いということではなく、やはりそれをいかに使っていくか、ということが大事なのだよなと再認識させられた、そんなサイトでした。
ぜひチェックしてみてください。