シリアの紛争をテーマに現地の様子をリアルに伝える全天球 WebGL ドキュメンタリー
その現実をリアルに世界へと配信する
今回ご紹介するのは、紛争地域の現状をリアルに伝えるドキュメンタリー風のコンテンツで、WebGL を利用することで現地の様子を高い現実感で配信することに成功しています。
最近では、全天球を利用した、全方位を VR モードで閲覧できるコンテンツが非常に増えてきています。今回のコンテンツは、本格的なヘッドマウントディスプレイを利用した WebVR API にも対応しているようですね。
もちろん、通常どおり PC のブラウザを使っての閲覧もできるようになっていますので、安心してご覧いただければと思います。
凄惨な街の状態も痛々しいほどに伝わってくる
今回のサイトは、シリアという国とその周辺で起こっている様々な紛争などに関する一種のドキュメンタリーであり、その悲惨な現実を広く世界に配信するためのコンテンツだと思います。
多くのジャーナリストや活動家が関わっているサイトのようで、使われているリソースもかなりリアリティのある、まさにシリアの今を切り取ったようなものが多くなっています。
サイトの入口ではまず、通常の Desktop などによる WebGL モードか、ヘッドマウントディスプレイを使った VR モードか、いずれかを選択します。
また、以下の画像にあるように、音声も流れるので、音が聞こえる環境にしたほうが、より体験の質を高めることができるでしょう。※ただし英語です
サイトの構成としては、まずはポータルのような部屋が用意されていて、そこでコンテンツを選択したあと、全天球に画像を貼り付けた VR 用のシーンが出てくるような構造になっています。
ポータルな部屋のようになっているところでは、スクリーンが周囲に並んでいるかのような風景になっていて、真っ暗な背景が、どことなく悲しげな雰囲気を演出しています。
シーンがいくつかに別れているようですが、一度コンテンツがスタートすると、ある程度は自動的に進んでいくような感じになっているので、あまり深く考えずに最初のチャプターを選ぶのがいいかもしれません。
実際に全天球の WebGL によるレンダリングがスタートすると、もうここからは、あまり CG としてどうだとか、WebGL の実装としてどうだとか、そういう野暮なことがあんまり言えないような心理的状態になりますね。
街を埋め尽くす瓦礫や、立ち尽くす人々がハッキリと写っている写真の数々には、思わず息を呑むような迫力があります。
VR モードにすれば、より現実に近い、リアルな距離感で風景を眺めることができると思います。
PC で眺めているときはマウスのドラッグ操作などで視点を動かすことができます。
全天球モードでページを開いている間は、英語の音声が流れていて、いろいろとシリアについての情報を聞くことができます。
また、最初のほうでも出てきたポータルのような部屋には、映画館のスクリーンのようにして並んでいるエピソード一覧のほかに、WebGL でミサイルの形状を立体的に表現したデモなども置いてあります。
単に画像を見せるだけではなく、立体であることを活かして、三次元的に資料を作って見せていくというのは、かなり効果的な情報の提示の仕方だなと感じました。
やっぱりこういうものが目に入ると、妙にリアリティが増しますね。
今回のサイトは、いつも紹介しているようなエンターテイメント性を重視したものではなく、どちらかというとドキュメンタリー色の強い内容です。
シリアはニュースで見聞きすることはあっても、我々日本人にとっては、なかなか現実感を伴って見ることの難しい遠い国です。
しかし、こうして立体的に、しかも VR モードなどでハッキリと惨状を見せつけられてしまうと、たとえそれがブラウザ越しのものであってもいろいろと考えさせられる人も多いのではないでしょうか。
WebVR API を利用しているという意味で、技術的なところも先進的な取り組みを行なっているサイトです。ぜひみなさんもチェックしてみてください。